新規営業をするとき、
「次はどの会社に営業すればいいのか」
で止まることがあります。
業界名で検索する。
企業データベースを見る。
展示会の出展企業を調べる。
売上規模で絞る。
いろいろな探し方があります。
ただ、もう一つ使えると思うのが、
「すでに取引がうまくいっている顧客に似た企業を探す」
という方法です。
自社にはすでに、
買ってくれた会社。
継続して取引している会社。
売上が大きい会社。
提案が通りやすい会社。
があります。
だったらゼロから理想の営業先を考えるより、
「今の優良顧客には、どんな共通点があるのか」
をAIに整理してもらい、
その特徴に近い企業を探した方が早いかもしれません。
今回は、
自社の優良顧客を起点に、AIで似た企業を探して営業リストを作る方法
を考えてみます。
まず「優良顧客」を決める
最初に必要なのは、
どの顧客をお手本にするのか
です。
ここを適当に決めると、その後のリストもズレます。
単純に売上が一番大きい顧客だけを見る必要はありません。
例えば、
売上が大きい。
利益率が高い。
継続期間が長い。
追加受注が多い。
営業工数が少ない。
自社の商品との相性が良い。
今後も取引拡大が期待できる。
など、
自社にとって「良い顧客」とは何か
を先に決めます。
できれば1社だけではなく、
3〜10社くらい
を見る方がいいと思います。
1社だけだと、その会社特有の特徴まで拾ってしまうからです。
AIに「共通点」を探してもらう
優良顧客を数社選んだら、
AIに企業情報を整理してもらいます。
ここで見たいのは、
会社名そのものではありません。
なぜその企業と自社の相性が良いのか。
です。
例えば、
業界。
売上規模。
従業員数。
拠点数。
成長率。
扱っている商品。
顧客層。
販売方法。
設備。
海外展開。
新規事業。
DXへの取り組み。
採用状況。
こうした情報を並べると、
意外な共通点が見つかることがあります。
「業界が同じ」だけでは足りない
似た企業を探すと言うと、
最初に思いつくのは同業他社です。
もちろん、それも有効です。
でも、
業界が同じ=自社の商品を買ってくれる
とは限りません。
例えば自社の商品が、
営業拠点の多い会社に向いている。
設備を多く持つ会社に向いている。
代理店販売をしている会社に向いている。
海外展開している会社に向いている。
新規事業を積極的に進めている会社に向いている。
という場合があります。
この場合、
業界よりも、
企業の構造や行動の方が重要
かもしれません。
AIには、
「同じ業界を探して」
ではなく、
「この顧客が自社の商品を買う理由につながっている特徴を探して」
と考えてもらう方が面白いです。
「企業属性」と「行動」を分ける
優良顧客を見るときは、
大きく二つに分けると分かりやすくなります。
一つは、
企業属性。
例えば、
売上100億〜500億円。
従業員300〜1,000人。
製造業。
全国に営業拠点がある。
海外売上比率が高い。
といった特徴です。
もう一つが、
最近の行動。
例えば、
新工場を建設した。
新規事業を始めた。
海外拠点を増やした。
DX部門を設置した。
営業組織を強化している。
採用を増やしている。
M&Aをした。
こちらも営業ではかなり重要です。
なぜなら、
今まさに何かを変えようとしている企業の方が、新しい商品やサービスを検討する可能性がある
からです。
「買った理由」を考える
ここは特に大事だと思います。
優良顧客A社が自社の商品を買っている。
だから、
A社と似た会社を探す。
だけでは少し弱い。
その前に、
なぜA社は買ったのか
を考えます。
例えば、
拠点が多くて管理が大変だった。
人手不足だった。
設備更新が必要だった。
営業効率を上げたかった。
海外対応が必要だった。
既存システムが古かった。
こうした背景が分かれば、
AIに探してもらう条件も変わります。
企業そのものが似ている会社ではなく、
「同じ課題を抱えていそうな企業」
を探せるようになるからです。
営業履歴も材料になる
もし使えるなら、
過去の営業履歴もかなり役立ちます。
例えば、
成約した会社。
失注した会社。
商談化した会社。
問い合わせだけで終わった会社。
を比べます。
すると、
優良顧客だけを見るより、
「成約する会社としない会社の違い」
が見えてくることがあります。
例えば、
従業員数300人以上では成約率が高い。
店舗型より法人営業型の会社が強い。
新規事業部門がある会社は商談化しやすい。
ある業界では価格で失注しやすい。
こうした傾向をAIに整理してもらえば、
営業先を選ぶ基準がかなり具体的になります。
「理想の顧客像」を作る
ここまで整理したら、
AIに、
自社にとって相性が良さそうな企業像
を作ってもらいます。
例えば、
売上100億〜500億円程度のBtoB企業。
全国に複数拠点を持つ。
営業人員が多い。
DXや業務効率化を進めている。
直近2〜3年で新規事業または営業組織の強化を行っている。
という形です。
これが、
営業リストを作るための、
企業版の検索条件
になります。

AIには「似ている会社」を探してもらう
ここからAIを使います。
例えば、
優良顧客5社の特徴。
自社の商品。
過去に買ってもらった理由。
理想の顧客像。
をAIに渡します。
そして、
この条件に近い企業を探してください
と依頼します。
検索できるAIなら、
企業ホームページ。
IR。
ニュースリリース。
採用情報。
事業紹介。
なども確認しながら候補を出してもらえます。
似ている理由を必ず出す
企業名だけ20社並べてもらっても、
営業ではあまり使いやすくありません。
重要なのは、
なぜ似ているのか
です。
例えば、
A社
全国20拠点を展開しており、優良顧客B社と事業構造が近い。
C社
直近でDX推進部門を新設しており、自社サービスとの相性がありそう。
D社
海外事業を拡大しており、既存顧客E社と同じ課題が発生する可能性がある。
という形です。
こうすると、
ただの企業リストから「営業理由付きリスト」
になります。
「似ている度」を付ける
企業が増えてきたら、
AIに優先順位も付けてもらいます。
例えば、
A:かなり近い
B:一部条件が一致
C:可能性はあるが追加調査が必要
くらいで十分です。
100点満点で細かく採点する方法もありますが、
個人的には営業では、
A・B・Cくらいの方が使いやすい
と思います。
点数が83点と79点でも、
本当にその差に意味があるのか分からないからです。
Aランクだけを深掘りする
最初から50社すべてを詳しく調べる必要はありません。
まずAIに広く候補を出してもらう。
↓
A・B・Cに分ける。
↓
Aランクだけ詳しく見る。
この順番で十分です。
Aランクについては、
最近のニュース。
新商品。
新規事業。
設備投資。
採用。
IR。
経営計画。
などを追加で確認します。
ここまでやると、
「似ている会社」から「今営業する理由がある会社」
へ一段進めます。
「似ている」だけで営業しない
ここも注意したいところです。
優良顧客と似ている。
だから営業する。
だけでは弱いです。
営業するなら、
今なぜその会社なのか
まで見たい。
例えば、
新工場を建てた。
新規事業を始めた。
営業拠点を増やした。
システムを刷新している。
採用を増やしている。
こうした変化があれば、
営業のタイミングとして考えやすくなります。
つまり、
企業の類似性 × 今の変化
で見る。
この組み合わせが使いやすいと思います。
AIには「営業の切り口」まで考えてもらう
候補企業が決まったら、
さらにAIに、
この会社へ営業するなら、どんな切り口が考えられるか
を整理してもらいます。
例えば、
「全国拠点の情報共有」
「人手不足への対応」
「営業効率化」
「新規事業の立ち上げ」
などです。
ただし、
これはあくまで仮説です。
AIが企業の本当の課題を知っているわけではありません。
だから、
営業仮説を作るために使う
くらいがちょうどいいと思います。
自社の「勝ちパターン」が見えてくる
この方法を何度か繰り返すと、
営業リストを作るだけではなく、
自社がどんな会社に強いのか
が少しずつ見えてきます。
例えば、
実は製造業全般に強いのではなく、
「複数工場を持つ中堅メーカー」に強かった。
IT企業全般ではなく、
「営業組織が100人以上いるBtoB企業」に強かった。
小売業全般ではなく、
「全国50店舗以上を展開する企業」に強かった。
という具合です。
これは営業先選びだけでなく、
マーケティングや商品開発にも使える情報です。
「当たる先」を変える材料になる
営業がうまくいかないとき、
営業トークを変えることばかり考えてしまうことがあります。
でも、
そもそも、
当たっている企業が違う
可能性もあります。
100社へ営業して反応が悪いなら、
101社目に同じタイプの会社へ営業するだけでは変わらないかもしれません。
過去の成約企業を分析して、
自社が勝ちやすい企業へ営業先を寄せる。
AIはこの作業と相性がいいと思います。
営業担当者の感覚も残す
一方で、
AIだけで優良顧客を定義しない方がいいと思います。
営業担当者は、
数字に出ない情報も持っています。
話が早い。
決裁者につながりやすい。
現場の評価が高い。
追加提案を受け入れてくれる。
価格だけで判断しない。
こうした感覚です。
CRMの数字。
企業情報。
営業担当者の経験。
この三つを組み合わせる方が、
実際の営業には使いやすいと思います。
個人情報ではなく企業情報を使う
今回やりたいのは、
個人を追いかけることではありません。
企業ホームページ。
IR。
ニュースリリース。
採用情報。
公開されている事業情報。
などから、
企業単位で営業候補を探す
方法です。
個人の連絡先を大量に集めることとは分けて考えます。
AIの企業情報は必ず確認する
AIで営業リストを作ると、
古い情報や間違った情報が混ざることがあります。
会社の事業内容が変わっている。
拠点数が古い。
ニュースの日付が違う。
すでに終了した事業を扱っている。
といったこともあります。
特にAランク企業については、
営業する前に企業公式サイトなどで確認する
ことが必要です。
AIには、
営業先を決めてもらうのではなく、
候補を探して整理してもらう。
この役割分担がいいと思います。
営業リストをゼロから作らない
営業リスト作りというと、
何もないところから企業を探すイメージがあります。
でも自社には、
すでに取引実績があります。
その中には、
「自社の商品が売れやすい企業のヒント」
が入っています。
だったら、
その実績をAIに整理してもらう。
優良顧客の共通点を探す。
似た企業を探す。
営業する理由を付ける。
優先順位を付ける。
そして最後は人間が確認する。
この流れなら、
営業リスト作成の「ゼロ」をかなり減らせます。
優良顧客は次の営業先を教えてくれる
今回のポイントは、
AIに「売れそうな会社を探して」と丸投げしない
ことです。
まず自社を見る。
どんな企業に売れているのか。
なぜ買ってくれたのか。
どんな共通点があるのか。
そこから、
「自社がすでに勝っている条件」
を探します。
AIは、その条件を広げて、
似た企業を見つける役目です。
新規営業というと、
新しい場所を探すことばかり考えます。
でも、
次の顧客のヒントは、すでにいる優良顧客の中にある。
AIで営業リストを作るなら、
この探し方もかなり使えると思います。
次回は実際に使えるプロンプトを作る
次回は、
優良顧客に似た企業を探すAIプロンプト【コピペOK】
として、
優良顧客の情報。
自社商材。
成約理由。
企業の共通点。
をAIに渡して、
似た企業 → 似ている理由 → 営業の切り口 → 優先順位
まで整理する実践プロンプトを作ります。


