前回の記事では、
自社の優良顧客を起点に、似た企業をAIで探して営業リストを作る方法
を紹介しました。
ポイントは、
「売れそうな会社を探して」ではなく、「すでに売れている会社の共通点から次の候補を探す」
ことです。
自社にはすでに、
成約した顧客。
長く取引している顧客。
追加受注が多い顧客。
自社の商品との相性が良い顧客。
があります。
今回は、その情報をAIに渡して、
優良顧客の共通点 → 類似企業 → 似ている理由 → 営業の切り口 → 優先順位
まで整理するプロンプトを作ります。
まず用意するもの
AIに企業を探してもらう前に、最低限2つ用意します。
1.優良顧客の情報
できれば3〜10社くらいあると使いやすいです。
例えば、
- 企業名
- 業界
- 売上規模
- 従業員数
- 拠点数
- 主な商品・サービス
- 自社から購入している商品
- 取引期間
- 購入した背景
- 自社との相性が良いと思う理由
です。
全部そろっていなくても構いません。
分かる範囲から始めます。
2.自社の商品・サービス情報
次に、
何を売りたいのか
をAIに伝えます。
例えば、
- 商品・サービス名
- どんな課題を解決するのか
- 主な顧客
- 導入されやすい企業の特徴
- 導入が難しい企業の特徴
- 価格帯
- 過去によく成約した理由
などです。
ここが曖昧だと、
AIが単純に「似た会社」を探すだけになってしまいます。
今回探したいのは、
企業として似ている会社ではなく、自社商材を買う可能性につながる特徴が似ている会社
です。
最初に優良顧客の共通点を出してもらう
いきなり、
A社に似た企業を50社探してください。
とは聞きません。
まずAIに、
優良顧客にどんな共通点があるのか
を整理してもらいます。
見るポイントは、
企業属性。
事業構造。
最近の行動。
抱えていそうな課題。
の4つです。
例えば、
「製造業」というだけでは弱い。
でも、
複数工場を持つ中堅製造業
まで絞ると少し具体的になります。
さらに、
人手不足への対応として自動化投資を増やしている
まで入ると、営業条件としてかなり使いやすくなります。

実践プロンプト【コピペOK】
以下をそのまま使えます。
あなたはBtoB営業のリサーチを支援するアシスタントです。
私は、自社の優良顧客に似た企業を探し、新規営業の候補企業リストを作りたいと考えています。
単純に同じ業界の企業を並べるのではなく、
「なぜ既存の優良顧客が自社の商品・サービスを購入しているのか」
を分析し、その条件に近い企業を探してください。
まず、以下の優良顧客情報と自社商材情報を読んでください。
【優良顧客情報】
企業A:
・企業名:
・業界:
・売上規模:
・従業員数:
・拠点数:
・主な事業:
・購入している自社商品・サービス:
・導入背景:
・取引期間:
・追加受注の有無:
・自社との相性が良いと思う理由:企業B:
・企業名:
・業界:
・売上規模:
・従業員数:
・拠点数:
・主な事業:
・購入している自社商品・サービス:
・導入背景:
・取引期間:
・追加受注の有無:
・自社との相性が良いと思う理由:企業C:
・企業名:
・業界:
・売上規模:
・従業員数:
・拠点数:
・主な事業:
・購入している自社商品・サービス:
・導入背景:
・取引期間:
・追加受注の有無:
・自社との相性が良いと思う理由:必要に応じて企業D、E、Fを追加します。
【自社商材情報】
・商品・サービス名:
・主な機能:
・解決できる課題:
・主な顧客層:
・価格帯:
・導入されやすい企業の特徴:
・導入されにくい企業の特徴:
・過去によく成約した理由:まず、優良顧客に共通する特徴を整理してください。
以下の4つに分けてください。
【1. 企業属性】
・業界
・売上規模
・従業員数
・拠点数
・地域
・企業規模【2. 事業構造】
・BtoB / BtoC
・直販 / 代理店
・店舗型 / 拠点型
・設備保有型
・人員依存型
・海外展開
・複数事業展開【3. 最近の企業行動】
・新規事業
・設備投資
・DX
・採用強化
・海外進出
・拠点拡大
・M&A
・組織再編【4. 抱えている可能性が高い課題】
・人手不足
・業務効率化
・営業効率
・設備更新
・情報共有
・採用
・コスト削減
・事業拡大そのうえで、
「自社商材を導入しやすい企業の特徴」
を5〜10項目にまとめてください。
次に、その条件に近い企業を30社程度探してください。
企業候補については、以下の形式で整理してください。
企業名 業界 規模 優良顧客との共通点 最近の動き 営業する理由 優先度 優先度は、
・A:かなり条件が近く、優先して調べたい
・B:一部条件が一致している
・C:可能性はあるが追加確認が必要の3段階にしてください。
企業名を挙げるだけではなく、
「なぜこの会社を営業候補にしたのか」
を必ず1〜2文で説明してください。
また、同じ業界という理由だけではA評価にしないでください。
優良顧客との共通点や、自社商材を必要とする可能性につながる具体的な理由を重視してください。
次に、A評価の企業だけを取り出してください。
各企業について以下を追加で整理してください。
【企業名】
【優良顧客との共通点】
【この企業で起きていそうな課題】
【最近の企業動向】
【自社商材との接点】
【営業するならどんな切り口が考えられるか】
【営業前に追加確認すべき情報】
最後に、
「まず営業候補として確認する企業」
を10社程度まで絞ってください。
ただし、最終的な営業判断は行わず、あくまで候補企業の抽出と営業仮説の整理までにしてください。
情報が確認できない場合は推測で埋めず、
「不明」「要確認」
としてください。
Web検索できるAIなら出典も付けてもらう
検索できるAIを使うなら、最後にこの一文も追加します。
企業情報や最近の動向については、可能な限り企業公式サイト、IR、ニュースリリース、採用ページなどを確認し、確認したページのURLと公開日を記載してください。
これは入れておいた方がいいと思います。
AIは、
過去の情報。
別会社の情報。
推測。
を混ぜることがあります。
特に営業前に使う情報なので、
Aランク企業は一次情報で確認できる状態
にしておいた方が安全です。
最初から30社を詳しく調べない
このプロンプトでは、
最初に30社程度出してもらいます。
でも、
30社すべてを深掘りする必要はありません。
まず、
30社抽出。
↓
A・B・Cに分類。
↓
Aランクだけ追加調査。
↓
10社程度まで絞る。
という順番です。
AIを使うメリットは、
最初の候補出しを速くできること
です。
人間は最後の絞り込みに時間を使います。
「似ている理由」が一番重要
この営業リストで、一番重要なのは企業名ではありません。
なぜその企業を選んだのか。
です。
例えば、
同じ製造業だから。
だけでは営業理由として弱い。
一方で、
優良顧客A社と同様に全国5拠点以上を持ち、直近で営業DXを進めている。
なら、
かなり具体的になります。
営業担当者がリストを見たとき、
「なるほど、この会社なら話を聞いてくれる可能性がありそうだ」
と思える理由が必要です。
「企業属性」と「課題」を混ぜる
似た企業を探すとき、
企業属性だけに寄せすぎない方がいいと思います。
例えば、
売上300億円。
従業員500人。
製造業。
だけでは、
かなり多くの企業が該当します。
そこに、
人手不足。
工場自動化。
新拠点。
DX。
海外展開。
などの情報を組み合わせる。
すると、
単なる同業企業リストから、営業タイミングを含んだリスト
に変わります。
「今なぜ営業するのか」も追加する
候補企業が決まったら、
AIにはもう一度、
この会社へ今営業する理由はありますか。
と聞きます。
例えば、
新規事業を立ち上げた。
新しい工場を建てた。
DX部門を作った。
採用を増やしている。
営業拠点を増やした。
こうした変化があれば、
営業の入口を作りやすくなります。
似ている企業 × 今の変化
まで見られると、かなり使いやすいリストになります。
営業の切り口は「仮説」として使う
AIに営業の切り口を作ってもらうと、
それらしい提案が出てきます。
ただし、
ここはそのまま使わない方がいいです。
AIには、
相手企業の内部事情までは分かりません。
なので、
例えば、
拠点拡大に伴う情報共有の効率化
という切り口が出たら、
企業サイトやIRを確認する。
本当に拠点が増えているか。
どんな組織になっているか。
関連するニュースがあるか。
を見ます。
AIの役割は、
営業仮説のゼロをなくすこと
です。
既存の失注企業も使える
もしデータがあるなら、
成約企業だけではなく、
失注企業
も少し入れてみると面白いです。
AIに、
成約企業と失注企業には、どんな違いがありますか。
と聞きます。
例えば、
小規模企業では価格で失注しやすい。
特定業界では導入期間が長い。
拠点数が多い会社ほど成約しやすい。
など、
営業先を外す条件が見つかることがあります。
これはかなり重要です。
営業リスト作りは、
どこに営業するかを決める作業であると同時に、どこに営業しないかを決める作業
でもあるからです。
条件を増やしすぎない
AIを使うと、
条件をどんどん増やしたくなります。
業界。
売上。
従業員。
拠点。
成長率。
採用。
DX。
新規事業。
海外。
設備投資。
でも、
条件を増やしすぎると、
ほとんど企業が残らなくなります。
最初は、
「成約に強く関係していそうな条件」
を3〜5個くらいに絞る方が使いやすいです。
そのあと結果を見て修正します。
営業リストは一度作って終わりではない
この方法の面白いところは、
営業結果をまたAIに戻せることです。
例えば、
30社抽出。
↓
10社へ営業。
↓
3社商談。
↓
1社成約。
となったら、
その結果をAIへ戻します。
そして、
商談化した3社と、反応がなかった7社の違いを整理してください。
と聞く。
すると、
次のリスト作成条件を修正できます。
つまり、
営業結果を使って営業リストそのものを改善できる
ということです。
「当たる先」をAIと一緒に修正する
営業では、
トーク。
資料。
メール。
提案内容。
を改善することも重要です。
でも、
それ以前に、
誰に営業するか
がズレていたら成果は出にくい。
今回の方法は、
自社がすでに持っている成約データから、
「自社が勝ちやすい企業の条件」
を探す方法です。
優良顧客を分析する。
↓
共通点を整理する。
↓
似た企業を探す。
↓
営業理由を付ける。
↓
A・B・Cで優先順位を付ける。
↓
営業結果を戻して条件を修正する。
これを繰り返す。
営業リストは、
一度作る名簿ではなく、
営業結果を使って改善していくもの
として考えた方が面白いと思います。
AIに営業先を決めてもらうわけではない
今回も、
AIが営業先を決めるわけではありません。
AIには、
候補を広く探す。
共通点を整理する。
営業理由を言語化する。
優先順位を付ける。
ところまで任せます。
そのあと、
実際に営業するかどうかは人間が確認する。
特に、
企業の最新状況。
既存取引。
競合関係。
社内事情。
などはAIだけでは判断できません。
優良顧客を「次の営業先探し」に使う
新規営業というと、
新しい企業情報を集めることに意識が向きます。
でも、
自社の中にはすでに、
売れた理由のデータ
があります。
まず、
そこを見る。
そしてAIに、
「この成功パターンに近い会社を探して」
と頼む。
ゼロから営業先を探すより、
かなり筋の良いスタートになると思います。
AIは答えではありません。
営業リスト作成の「ゼロ」をなくし、当たる先を考える材料を増やす道具
として使う。
このくらいの使い方が、実際の営業にはちょうどいいと思います。


