前回の記事では、
競合が新商品を出したときに、AIに“自社びいきなし”で比較してもらう
という使い方を紹介しました。
競合の弱点を探すためではありません。
自社を無理に持ち上げるためでもありません。
やりたいのは、
「競合が強いところも、自社が強いところも、両方きちんと整理する」
ことです。
そのうえで、
- どんな顧客なら競合が向いているのか
- どんな顧客なら自社が向いているのか
- 商談で何を聞かれそうか
- どう答えるか
まで準備しておく。
今回は、そのまま使えるプロンプトを作ります。
まずAIに渡す資料を用意する
最初に用意するのは、競合と自社の資料です。
競合側
できれば一次情報を優先します。
- 新商品ページ
- プレスリリース
- 製品カタログ
- 料金表
- FAQ
- 仕様書
- 導入事例
自社側
- 自社商品ページ
- 営業資料
- 製品カタログ
- 料金表
- FAQ
- 仕様書
- サービス説明資料
全部そろっていなくても構いません。
ただし、競合だけ詳しい資料を渡して、自社はほとんど情報がない。
あるいはその逆。
この状態だと、公平な比較は難しくなります。
できるだけ、
同じ種類の情報を両社分そろえる
のがポイントです。
最初に「比較のルール」を決める
いきなり、
「どちらの商品が優れていますか?」
とは聞きません。
これだと、AIが曖昧な総合評価を作りやすくなります。
先に比較項目を決めます。
例えば、
- 価格
- 初期費用
- 月額費用
- 主な機能
- 導入期間
- サポート
- カスタマイズ性
- 契約条件
- セキュリティ
- 他システムとの連携
- 導入実績
- 解約条件
などです。
商材によって項目は変えて構いません。
重要なのは、
同じ物差しで比較すること。
実践プロンプト【コピペOK】
以下をそのまま使えます。
あなたはBtoB営業の競合分析を支援するアシスタントです。
これから、
・自社商品の資料
・競合商品の資料を入力します。
目的は、自社商品を優位に見せることではありません。
両商品の違いを公平に整理し、営業担当者が顧客との商談前に競合商品を正しく理解することです。
必ず以下のルールを守ってください。
- 自社をひいきしない
- 競合が優れている点も明確に書く
- 自社が劣っている点も隠さない
- 資料に記載がない情報は推測しない
- 判断できない場合は「不明」または「要確認」とする
- 広告表現ではなく、資料から確認できる事実を優先する
- 単純な勝ち負けではなく、どんな顧客にどちらが向いているかを考える
まず、以下の項目で比較表を作成してください。
・価格
・初期費用
・月額費用
・主要機能
・導入期間
・サポート体制
・カスタマイズ性
・契約条件
・セキュリティ
・他システムとの連携
・導入実績
・解約条件資料から確認できない項目は「不明」としてください。
次に、以下を整理してください。
【競合商品が強い点】
競合商品の方が優位と考えられる点を、根拠とともに整理してください。【自社商品が強い点】
自社商品の方が優位と考えられる点を、根拠とともに整理してください。【競合商品が向いている顧客】
どのような条件・ニーズを持つ顧客なら競合商品が向いているか整理してください。【自社商品が向いている顧客】
どのような条件・ニーズを持つ顧客なら自社商品が向いているか整理してください。【営業が顧客から聞かれそうな質問】
この競合商品が発売されたことで、営業担当者が商談で聞かれそうな質問を10個挙げてください。【質問への回答案】
上記10個の質問それぞれについて、競合を否定せず、事実に基づいた回答案を作ってください。【営業トークの下書き】
以下の4パターンで、営業担当者が使える説明の下書きを作ってください。
- 顧客が価格を重視している場合
- 顧客が機能を重視している場合
- 顧客がサポートを重視している場合
- 顧客がすでに競合商品を検討している場合
最後に、
【営業担当者が商談前に必ず確認すべきこと】
として、資料だけでは判断できなかった点を一覧にしてください。
自社に有利な結論を作ることを目的にせず、公平な比較を優先してください。
以下が自社商品の資料です。
(ここに自社資料を入力)
以下が競合商品の資料です。
(ここに競合資料を入力)
一番重要なのはこの一文
このプロンプトの中で、一番重要なのは、
「自社に有利な結論を作ることを目的にしない」
という指示です。
AIに自社の商品説明と競合の商品説明を渡すと、
質問の仕方によっては、
自社商品の良さを説明する回答
に寄ってしまうことがあります。
営業担当者自身も、
「自社商品の方がいいはず」
という前提を持っています。
だからこそ、意識的に外します。
比較結果は「勝敗表」にしない
例えば、
| 比較項目 | 自社 | 競合 |
|---|---|---|
| 価格 | △ | ◎ |
| サポート | ◎ | ○ |
| 導入速度 | ○ | ◎ |
| カスタマイズ | ◎ | △ |
という表が出たとします。
ここで、
自社2勝、競合2勝だから互角
という話ではありません。
顧客が何を重視しているかで、意味が変わります。
初期費用を最優先する顧客なら競合が有利。
複雑な運用があり、導入後の支援が重要なら自社が有利。
同じ比較表でも、
顧客によって答えは変わる。
だから、次に顧客タイプまで整理します。

「競合が向いている顧客」を必ず出す
ここは省かない方がいいと思います。
営業資料なら、
「自社商品が向いている顧客」
だけ書きたくなります。
でも、それでは競合分析として片手落ちです。
例えば、
初期コストを最小化したい顧客なら、競合商品の方が選択肢として合理的です。
という回答が出ても構いません。
むしろ、この情報を知っているからこそ、
商談で無理な提案をしなくて済みます。
想定問答まで作る
比較表ができたら、営業で使える形に変えます。
例えば、
「競合の方が安いですよね?」
と聞かれた場合。
悪い回答は、
でも弊社の方がサポートが充実しています。
と即座に自社の話へ持っていくことです。
AIには、例えば、
初期費用だけで比較すると、競合商品の方が安いです。
一方で、御社の場合は導入後に○○の対応が必要になるため、サポート範囲も含めて比較した方がいいと思います。
のような回答案を作ってもらいます。
まず事実を認める。
その後、
顧客に必要な比較軸を追加する。
この方が自然です。
営業トークは顧客タイプごとに変える
商品説明を一つ作って終わりではありません。
例えば、
価格重視の顧客
価格差と総コストを見る。
機能重視の顧客
必要な機能が本当にどちらにあるかを見る。
サポート重視の顧客
導入後の運用まで比較する。
すでに競合を検討している顧客
競合を否定せず、
「何を理由に競合を評価しているのか」
を聞く。
同じ商品でも、説明の順番は変わります。
AIにはこの下書きまで作ってもらいます。
AIの回答をそのまま営業資料にはしない
ここは重要です。
AIが出した比較結果を、
そのまま顧客向け資料に貼るのはおすすめしません。
特に、
- 競合価格
- 契約条件
- 製品仕様
- サポート内容
- 導入期間
などは変更される可能性があります。
必ず元の資料を確認します。
AIは、
比較表を作る人
ではなく、
比較表のたたき台を作る人
くらいに考えた方が安全です。
「不明」が出る方がむしろ使える
AIの回答に、
「不明」
「要確認」
がたくさん並ぶことがあります。
一見すると、役に立っていないように見えます。
でも営業準備では、むしろ重要です。
例えば、
「競合の解約条件:不明」
と出た。
これなら、
「商談前に調べよう」
となります。
分からないことを、それらしい答えで埋められるよりずっといい。
商品比較から「質問リスト」に変える
最終的には、
比較そのものより、
商談で何を確認するか
に変換できると便利です。
例えばAIから、
- 顧客が価格を重視する理由は何か
- 導入希望時期はいつか
- 必須機能は何か
- サポートはどこまで必要か
- 他システムとの連携は必要か
- 契約期間に制約はあるか
などを出してもらう。
すると競合分析が、
顧客ヒアリングの準備
に変わります。
ここまで来ると、営業でかなり使いやすい。
競合情報を「売るための材料」に変える
競合の新商品ページを読む。
これだけなら情報収集です。
でも、
自社と比較する。
↓
競合が強い点を整理する。
↓
顧客タイプに分ける。
↓
想定質問を作る。
↓
営業トークを下書きする。
まで進めると、
競合情報が営業準備に変わります。
AIを使う意味は、
情報を知ることではなく、
情報を次の行動まで持っていくこと
にあると思います。
AIに自社を褒めてもらわない
競合分析でAIを使うとき、
一番簡単なのは、
「自社商品の優位性を説明してください」
と聞くことです。
たぶん、それらしい文章はすぐ出てきます。
でも、それでは顧客から競合の強みを突かれたときに弱い。
だから今回のプロンプトでは、
最初から、
「自社をひいきしない」
と指示します。
競合が強いところは認める。
自社が強いところも確認する。
そして、
この顧客には何が重要なのか
を考える。
AIには答えを作ってもらうのではなく、
商談前に考えておくべきことを整理してもらう。
これが、営業でAIを使う一つの形だと思います。


