前回の記事では、TDnetに並ぶ大量の適時開示を、
「全部読む」のではなく、AIに優先順位をつけてもらう
という使い方を紹介しました。
AIに「上がる株」を選んでもらうのではありません。
やってほしいのは、
「今日、どの開示を詳しく読むべきか」
を整理してもらうことです。
今回は、実際にそのまま使えるプロンプトを作ります。
まずはTDnetを開く
一次情報として使うのは、東京証券取引所の**適時開示情報閲覧サービス(TDnet)**です。
ここに、その日に企業から公表された適時開示が並びます。
例えば、
- 決算短信
- 業績予想修正
- 自己株式取得
- M&A
- 資本業務提携
- 大型受注
- 新規事業
- 事業売却
- 増資
などです。
人間が全部読むのは大変なので、まずAIに入口を作ってもらいます。
今回AIにやってほしいこと
AIには、開示を単純に要約してもらうだけではありません。
見てほしいのは主に次のポイントです。
1.会社に与えるインパクト
金額が大きいかどうかではなく、
その会社の規模に対して大きいか
を見ます。
2.一過性か継続性か
今回だけ利益が出るのか。
それとも今後の業績にも影響するのか。
ここを分けます。
3.本業への影響
特別利益なのか。
本業の売上・利益が伸びているのか。
同じ上方修正でも意味は違います。
4.経営戦略への影響
M&Aや資本業務提携、新規事業などは、
企業そのものが変わる可能性
があります。
5.原文で何を確認すべきか
AIの要約だけで終わらせません。
最後に、
「TDnetのPDFでどこを確認すべきか」
まで出してもらいます。

実践プロンプト【コピペOK】
以下をそのままChatGPTなどに貼り付けて使えます。
あなたは長期投資を前提とした株式投資のリサーチアシスタントです。
以下に、TDnetに掲載された本日の適時開示情報を入力します。
目的は「短期的に株価が上がる銘柄」を予想することではありません。
大量の適時開示の中から、投資家として原文を詳しく読む価値が高そうな開示を選別してください。
次の観点で分析してください。
- 会社規模に対して影響が大きいか
- 売上・利益・キャッシュフローに与える影響
- 一過性の要因か、継続性がある可能性があるか
- 本業の成長や悪化を示しているか
- 会社の経営戦略が変化する可能性があるか
- M&A、資本業務提携、大型受注、新規事業など将来に影響する内容か
- タイトルだけでは判断できず、PDF本文を詳しく読む必要があるか
重要度を「高・中・低」の3段階で評価してください。
特に重要度が高いものを最大5件選んでください。
出力は以下の形式にしてください。
【会社名】
【証券コード】
【開示タイトル】
【重要度】
【注目した理由】
【会社規模への影響】
【一過性か継続性か】
【業績・キャッシュフローへの影響】
【経営戦略への影響】
【TDnetの原文で確認するポイント】情報が不足している場合は推測で補わず、「確認が必要」としてください。
投資判断や売買推奨はしないでください。
最後に「今日、優先して読むべき開示ランキング」を1位から5位までまとめてください。
以下が本日の適時開示情報です。
(ここにTDnetの開示情報を貼り付ける)
ポイントは「推測させすぎない」
このプロンプトで大事なのが、
「情報が不足している場合は推測で補わない」
という部分です。
AIは空白があると、それらしい答えを作ってしまうことがあります。
投資ではこれは困ります。
分からないものは、
「確認が必要」
と出してもらう。
そして人間がTDnetのPDFを確認する。
この役割分担にします。
さらに絞り込みたい場合
開示件数が多い日は、最初から全部を細かく分析させる必要はありません。
まずは、こんな短いプロンプトでもOKです。
以下のTDnet適時開示から、長期投資の観点で詳しく読む価値が高そうなものを最大10件選んでください。
特に、
・業績修正
・M&A
・資本業務提携
・大型受注
・新規事業
・事業売却
・自己株式取得
・資本政策
を重視してください。株価の短期予想は不要です。
選んだ理由を1件につき2〜3行で説明してください。
まず10件に絞る。
その後、気になるものだけ詳しいプロンプトにかける。
この2段階の方が実用的かもしれません。
例えばこんな回答を目指す
AIから欲しいのは、例えばこんな整理です。
| 会社 | 開示内容 | 重要度 | 注目理由 |
|---|---|---|---|
| A社 | 業績上方修正 | 高 | 本業の売上・利益が想定を上回っている |
| B社 | 資本業務提携 | 高 | 中長期の事業戦略に影響する可能性 |
| C社 | 大型受注 | 高 | 年間売上に対する受注規模が大きい |
| D社 | 自己株式取得 | 中 | 株主還元・資本効率改善 |
| E社 | 特別利益 | 低 | 一過性で本業への影響は限定的 |
これだけでも、
どれから読むか
がかなり分かりやすくなります。
「良い開示」ではなく「読むべき開示」
ここは意識しておきたいところです。
例えば下方修正でも、非常に重要な開示かもしれません。
大規模な減損。
主要顧客との取引終了。
事業撤退。
大型案件の失注。
こうした情報は、投資家としてむしろ優先的に読んだ方がいい。
だからAIには、
ポジティブな開示を探して
ではなく、
重要な開示を探して
と指示します。
最後は必ずTDnetに戻る
AIが5件を選んでくれたら、そこで終わりではありません。
例えば、
AIが100件から5件に絞る
↓
人間が5件の理由を見る
↓
気になる2〜3件をTDnetで開く
↓
PDF原文を読む
という流れです。
ここまでやって初めて投資の材料になります。
AIは、
読むべきものを見つけるところまで。
企業が実際に何を発表したのかは、
一次情報で確認する。
この使い分けは崩さない方がいいと思います。
AIで「ゼロ」をなくす
TDnetを開いた瞬間、
「今日も大量にあるな」
と思って閉じてしまえば、そこでゼロです。
でもAIに、
「今日読むべき5件を選んで」
と頼めば、とりあえず最初の一歩はできます。
全部読む必要はない。
最初から正解を出す必要もない。
AIに、
調べ始めるところまで連れていってもらう。
これだけでも、情報収集のハードルはかなり下がります。
AIは答えじゃない。
仕事の「ゼロ」をなくす道具だ。
投資の情報収集にも、かなり相性のいい使い方だと思います。


