前回の記事では、
という使い方を紹介しました。
営業台本といっても、商談でそのまま読み上げるための文章ではありません。
目的は、
商談前に一度、話の流れを頭の中で走らせておくこと
です。
何を聞くのか。
どの順番で説明するのか。
どこで導入事例を出すのか。
価格を聞かれたらどう返すのか。
最後に何を確認するのか。
これを事前に整理しておくだけで、商談の入り方はかなり変わります。
今回は、自社商材の情報をAIに渡して、
心理学の原則を営業の流れに落とし込んだ台本
を作るプロンプトを公開します。
まずAIに渡す情報を用意する
最初に必要なのは、自社商材の情報です。
例えば、次のようなものです。
- 商品・サービスの概要
- 主な機能
- 価格
- 対象顧客
- よくある課題
- 導入メリット
- 導入事例
- 競合との違い
- よくある質問
- 導入までの流れ
全部そろっていなくても構いません。
ただし、情報が少なすぎると、AIの回答も薄くなります。
特に重要なのは、
誰の、どんな課題を解決する商材なのか
です。
ここが曖昧だと、営業台本もぼんやりします。
実践プロンプト【コピペOK】
以下をそのまま使えます。
あなたはBtoB営業の商談準備を支援するアシスタントです。
これから、自社の商品・サービス情報を入力します。
目的は、営業担当者が商談でそのまま読み上げる台本を作ることではありません。
商談前に、
・何を聞くか
・どの順番で説明するか
・顧客の反応にどう返すか
・最後にどんな次回アクションにつなげるかを整理するための営業台本を作ることです。
心理学の原則を参考にしてください。
ただし、顧客を無理に誘導したり、不安を煽ったりする表現は使わないでください。
顧客が納得して判断できるように、必要な情報を整理する目的で使ってください。
参考にする心理学の原則は以下です。
・返報性
・一貫性
・社会的証明
・権威
・好意
・希少性それぞれを無理に全部入れる必要はありません。
商談の場面ごとに、自然に使えるものだけを使ってください。
出力は以下の構成にしてください。
【1. 商談の目的】
この商談で達成すべきことを整理してください。【2. 想定顧客】
この商品・サービスが向いている顧客像を整理してください。【3. 商談冒頭のトーク】
信頼関係を作り、今日の商談の目的を共有する入り方を作ってください。【4. ヒアリング質問】
顧客の課題、現状、意思決定条件を確認する質問を10個作ってください。
Yes/Noで終わる質問ではなく、顧客が状況を話しやすい質問を中心にしてください。【5. 課題整理のトーク】
ヒアリングで聞いた内容を整理し、顧客と認識を合わせるための話し方を作ってください。【6. 商品説明の流れ】
商品の機能をすべて説明するのではなく、顧客課題に関係する部分を中心に説明してください。【7. 心理学の原則の使いどころ】
商談のどの場面で、どの心理学の原則を使うと自然かを整理してください。
それぞれ、実際のトーク例も作ってください。【8. 導入事例・実績の使い方】
社会的証明や権威として使える情報があれば、商談での自然な出し方を作ってください。
資料にない実績は作らないでください。【9. 競合と比較されたときの返し方】
競合を否定せず、顧客に必要な比較軸を提示する回答案を作ってください。【10. よくある反論と切り返し】
以下の反論に対する回答案を作ってください。
・価格が高い
・今は必要ない
・他社も検討している
・社内で決められない
・効果が分からない
・導入が大変そう【11. クロージング】
無理に契約を迫るのではなく、顧客が次に判断しやすくなる終わり方を作ってください。【12. 次回アクション】
商談後に設定すべき次の行動を3パターン作ってください。
例:デモ、見積、社内説明資料、追加ヒアリング、次回商談など。【13. 営業担当者が事前に確認すべきこと】
台本を実際に使う前に、人間が確認すべき情報を一覧にしてください。注意事項:
・資料にない情報は推測しないでください。
・強引なクロージングは避けてください。
・顧客を不安にさせて急がせる表現は使わないでください。
・心理学の原則名を商談中にそのまま出す必要はありません。
・営業担当者が自然に話せる言葉にしてください。以下が自社の商品・サービス情報です。
(ここに自社商材の情報を入力)

このプロンプトで大事なこと
このプロンプトで一番大事なのは、
「心理学を使って売ってください」
と頼まないことです。
そうすると、少し強引な営業文句になりやすい。
そうではなく、
顧客が判断しやすくなるように、話の順番を整える
という目的にします。
心理学の原則は、あくまで補助です。
主役は商材ではなく、
顧客の課題と判断材料
です。
返報性は「先に役に立つ」ために使う
返報性というと、何かを渡してお返しを期待するように見えます。
でも営業で使うなら、
先に顧客の役に立つ情報を渡す
という形が自然です。
例えば、
- 現状診断
- 課題整理
- 比較表
- 業界動向
- 導入シミュレーション
などです。
AIには、
商談の冒頭で顧客に提供できる価値
を考えてもらいます。
一貫性は「顧客自身の言葉」に戻る
一貫性は、営業でかなり使いやすい考え方です。
例えば、顧客が商談前半で、
今は担当者ごとに管理方法がバラバラで困っています。
と言ったとします。
後半の提案で、
先ほど「担当者ごとに管理方法がバラバラ」とおっしゃっていましたが、この仕組みならそこを統一できます。
と戻す。
これは押し売りではありません。
顧客自身が話した課題と、提案内容をつなげる
ということです。
AIには、この流れを台本に入れてもらいます。
社会的証明は具体的に使う
社会的証明は、
他の人も選んでいる
という情報です。
営業では、
- 導入企業数
- 同業他社の事例
- 同規模企業の実績
- 継続率
- 利用者の声
などが使えます。
ただし、
多くの企業に選ばれています。
だけでは弱い。
できれば、
同じような課題を持つ製造業のお客様では、導入後に○○の作業時間を削減できました。
のように、具体的にしたいところです。
AIには、資料にある実績だけを使わせます。
権威は「顧客にとっての意味」まで落とす
権威というと、資格や認証、受賞歴などを並べるイメージがあります。
でも、
○○認証を取得しています。
だけでは、顧客には伝わりにくい。
大事なのは、
それが顧客にとって何の意味があるのか
です。
例えば、
○○認証を取得しているため、御社のセキュリティ基準にも合わせやすいです。
という形です。
AIには、権威情報をただ並べるのではなく、
顧客の判断材料に変換
してもらいます。
希少性は煽りに使わない
希少性は使い方を間違えると、かなり胡散臭くなります。
今だけです。
今日決めないと損です。
残りわずかです。
こういう言い方は、BtoB営業では逆効果になることもあります。
使うなら、
- 補助金の申請期限
- 導入枠
- 法改正の期限
- サポート対応可能件数
- キャンペーン期間
のように、実際に存在する制約だけにします。
AIにも、
事実として説明できる希少性だけ使う
と指示しておきます。
台本は一本道にしない
商談は予定通り進みません。
だから、台本も一本道ではなく、
分岐
を作った方が使いやすいです。
例えば、価格を聞かれたとき。
顧客が予算不足の場合
競合より高いと感じている場合
費用対効果が分からない場合
この3つでは返し方が違います。
AIには、
相手の反応ごとの切り返し
も作らせます。
これがあると、実際の商談前にかなり準備しやすいです。
AIの台本をそのまま読まない
ここは大事です。
AIが作った台本は、あくまでたたき台です。
そのまま読むと、
少し硬い。
自分の言葉ではない。
相手に合わせられない。
ということが起きます。
だから使い方は、
AIに台本を作らせる
↓
自分で読んで違和感を直す
↓
商談前に一度流れを確認する
↓
実際の商談後に修正する
です。
台本は完成品ではなく、
営業準備の下書き
です。
商品説明よりヒアリングを厚くする
AIに営業台本を作らせると、商品説明が長くなりがちです。
でも、実際にはヒアリングの方が大事です。
顧客が何に困っているのか。
なぜ今検討しているのか。
誰が決めるのか。
予算はどこから出るのか。
いつまでに導入したいのか。
ここが分からないまま商品説明をしても、刺さりにくい。
だからプロンプトでは、
Yes/Noで終わらない質問を多めに作る
と指定しています。
よくある反論は先に準備する
営業で聞かれる反論は、ある程度決まっています。
- 高い
- 今はいらない
- 検討します
- 他社も見ています
- 社内で相談します
- 効果が分かりません
これを商談中に初めて考えるのは大変です。
だからAIに、
反論と切り返しの候補
を先に出してもらう。
完璧な答えでなくても、
一度考えてあるだけで対応しやすくなります。
最後は「次の行動」まで作る
商談の最後に、
ご検討ください。
で終わると、次につながりにくい。
だから台本には、
次回アクション
まで入れます。
例えば、
- 次回デモ
- 見積提出
- 社内説明用の資料作成
- 決裁者同席の商談
- 導入条件の確認
- トライアル
など。
AIには、
商談の終わり方
まで作らせます。
営業台本というより、
商談の設計図
に近いかもしれません。
まずは自分の商材で一度試す
このプロンプトは、どんな商材でもそのまま完璧に使えるわけではありません。
高額商材。
SaaS。
製造業向け商材。
人材サービス。
広告。
コンサルティング。
それぞれ商談の流れは違います。
だからまずは、自分の商材情報を入れて試してみる。
出てきた台本を読んで、
使えそうなところ
不自然なところ
足りないところ
を直します。
それを繰り返すことで、自分用の営業台本に近づいていきます。
AIで営業前の「ゼロ」をなくす
営業台本は、台本通りに話すためのものではありません。
商談前に、
一度考えておくためのもの
です。
何も準備しないで商談に入ると、
その場で全部考えることになります。
でもAIにたたき台を作らせれば、
少なくとも、
最初の質問
説明の順番
想定される反論
次のアクション
までは見えます。
これだけでも、営業準備の負担はかなり減ります。
AIに営業を代わってもらうのではありません。
営業が考え始めるための“ゼロ”をなくす。
営業台本づくりは、そのための使い方としてかなり実用的だと思います。
この記事で扱った書籍
『影響力の武器』
営業テクニックだけでなく、「なぜ人は行動するのか」を理解したい人におすすめの一冊です。
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